【子どもの進路】家族滞在の外国ルーツの子どもたちの在留資格安定化

現在、日本には「技術・人文知識・国際業務」や「特定技能2号」など、家族帯同が可能な在留資格で暮らす外国人が急増しています。それに伴い、日本で教育を受ける「外国にルーツを持つ子供たち」も増えていますが、彼らの進路指導や就職現場では、非常に深刻な問題が起きています。

1. 驚愕の統計:高校中退率は8倍、非正規就職は4割

文部科学省の調査によると、日本で「日本語指導が必要な生徒」は5年前の約1.4倍(約7万人)に達しています。しかし、彼らを取り巻く教育環境は過酷です。

  • 中退率: 全国高校生平均が1.1%なのに対し、ルーツを持つ生徒は8.5%と約8倍にのぼります。
  • 非正規就職: 全高校生の非正規就職率が3%程度であるのに対し、ルーツを持つ生徒は約4割が派遣社員などの非正規雇用となっています。

これほどの「売り手市場」で人手不足が叫ばれている中、なぜ彼らは安定した職に就けないのでしょうか。

2. 背景にある「情報不足」と「在留資格への無理解」

彼らが非正規雇用を選んでしまう最大の理由は、情報の欠如です。多くの生徒は親が働く派遣会社のネットワークに頼らざるを得ず、正規雇用の求人情報にたどり着けません。

また、教育現場や企業側の「在留資格」に対する苦手意識も壁となっています。 「家族滞在」ビザから就職して独立したビザ(定住者や特定活動)へ変更する手続きは、専門家から見れば決して難しくありません。しかし、学校の先生や企業が「入管の手続きは面倒そうだ」と敬遠することで、せっかくのチャンスが失われているのです。

3. 企業にとって、これほど「輝く人材」はいない!

澤田氏は、ルーツを持つ高校生を「究極の即戦力」だと強調します。海外から特定技能外国人を採用する場合と比較すると、その差は歴然です。

  • 採用コストの圧倒的な低さ: 海外から1人招聘するには、紹介料や渡航費などで約80万円かかることもありますが、国内の高校生なら無料職業紹介の枠組みで採用可能です。
  • 高い日本語・文化理解力: 日本の教育を受けているため、海外のN4レベル(特定技能の合格基準)の外国人よりも格段に日本語が堪能で、日本の文化や流行も理解しています。
  • 業務の自由度: 特定技能のような細かい職種制限がなく、柔軟に業務を任せることができます。

4. 「家族滞在」の危うさと、就職による「独立」の重要性

マニッシュ氏自身も10歳で来日し、言葉の壁やいじめに苦しみながらも、努力を重ねて行政書士の資格を勝ち取った一人です。

彼は、「家族滞在」ビザの危うさを指摘します。このビザは親に紐付いているため、親が失業したり帰国したりすれば、子供も日本での夢を断念して帰国しなければなりません。 高校卒業時に正社員として就職し、自分自身の在留資格(特定活動や定住者)を得ることは、彼らが日本で自立して生きていくための「命綱」なのです。

まとめ:今こそ「ルーツを持つ若者」に目を向けよう

「日本語がネイティブほどではない」「手続きが難しそう」といった先入観で、彼らを採用候補から外すのは、企業にとって大きな損失です。彼らは、日本の文化を理解し、かつグローバルな視点も持つ、将来の日本を支える貴重な人材です。

「ルーツを持つ生徒を採用したい」「ビザの手続きが不安だ」という企業様や教育機関の方は、ぜひ専門家への相談を検討してみてください。

彼らのような若者が日本で夢を叶えられる社会にすることは、日本の人手不足解消への一番の近道かもしれません。

投稿者プロフィール

杉﨑議一
杉﨑議一
愛知県岡崎市のビザ申請の専門家です。国際結婚・離婚や家族滞在、永住許可などの、身分系ビザ申請で多くの実績をがあります。 元公立中学校教員として外国人生徒の日本語、教科、進路指導を行い、日本語指導ボランティアとして外国人の日本語指導を行ってきました。
資格 申請取次行政書士 宅地建物取引士
趣味 ツーリング

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