外国籍の方が日本で会社を設立し、または事業を経営・管理するために必要な在留資格「経営・管理」についてご案内いたします。
1. 在留資格「経営・管理」とは
日本で事業を経営・管理するための在留資格です。具体的には、日本で会社を設立し、その役員として事業を経営する場合や、既存の事業の管理・運営を行う場合などが該当します。この在留資格は、日本経済の活性化にも貢献する重要なものです。
2. 申請の種類
在留資格「経営・管理」の申請には、大きく分けて以下の3つの種類があります。
- 新規申請(在留資格認定証明書交付申請):海外から日本へ来日して事業を開始する場合
- 変更申請(在留資格変更許可申請):日本国内に滞在している別の在留資格から「経営・管理」へ変更する場合
- 更新申請(在留期間更新許可申請):既に「経営・管理」の在留資格を持っている方が、引き続き日本で事業を継続する場合
それぞれの申請には、異なる要件や必要書類があります。
3. 各申請の詳細
3-1. 新規申請(在留資格認定証明書交付申請)
対象者: 海外に居住しており、日本で新たに事業を開始するために来日を希望する方。
申請要件:
- 事業所の確保: 日本国内に事業を営むための事務所(店舗、オフィス等)が確保されていること。バーチャルオフィスや自宅の一部では原則として認められません。
- 事業内容の明確性: 経営・管理しようとする事業が、日本で適法かつ継続的に営まれることが明確であること。事業計画書等で具体的に説明できる必要があります。
- 事業規模・安定性:
- 常勤の職員が2人以上(外国籍の方を含む)いること、または
- 資本金の額または出資の総額が500万円以上であること、または
- これらに準ずる規模であると認められること。
- 事業が安定的・継続的に行われる見込みがあること。
- 経営・管理能力: 申請人が事業の経営または管理に実質的に従事すること。関連する職務経験や学歴が考慮されます。
必要書類(主なもの):
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 申請人の証明写真
- パスポートの写し
- 最終学歴証明書、職務経歴書
- 履歴事項全部証明書(法人設立の場合)
- 定款(法人設立の場合)
- 事業計画書(収支見込み、従業員計画、事業内容等を詳細に記載)
- 事業所の賃貸借契約書、または登記事項証明書など事業所の存在を証明する書類
- 事業所の写真(内外観)
- 預金残高証明書(資本金等)
- 直近の決算書(既存事業を承継する場合など)
- その他、事業内容に応じた許認可証の写しなど
注意事項:
- 事業計画書は、申請の可否を左右する重要な書類です。実現可能性、収益性、雇用創出など、多角的な視点から具体的に記述する必要があります。
- 資本金500万円は必須要件ではありませんが、事業の安定性を示す重要な要素となります。
- 事業所の確保は、申請前に必ず行っておく必要があります。
その他:
- 許認可が必要な事業(例:飲食業、古物商、宅建業など)の場合、別途、関連する許認可の取得が必要です。
- 法人設立から申請まで、専門的な知識が求められます。
3-2. 変更申請(在留資格変更許可申請)
対象者: 既に日本国内に別の在留資格(例:留学、技術・人文知識・国際業務など)で滞在しており、新たに事業を開始し「経営・管理」の在留資格へ変更を希望する方。
申請要件: 基本的には新規申請と同様の要件が求められますが、以下の点が追加で考慮されます。
- 現有在留資格での活動状況: 現在の在留資格で適正に活動していること。
- 変更の必要性: 在留資格を変更する必要性、すなわち日本で事業を経営・管理することの合理的な理由があること。
必要書類(主なもの):
- 在留資格変更許可申請書
- 申請人の証明写真
- パスポート、在留カード
- 現有在留資格の活動内容を証明する書類(例:留学の場合の成績証明書、卒業証明書、就職の場合の源泉徴収票、在職証明書など)
- その他、新規申請と同様の書類(履歴事項全部証明書、定款、事業計画書、事業所の賃貸借契約書など)
注意事項:
- 現在の在留資格での活動を終えてから速やかに申請を行うことが望ましいです。
- 不法滞在や前科がある場合など、現在の在留状況によっては許可が困難になる場合があります。
その他:
- 在留資格変更のタイミングは非常に重要です。現在の在留期間が短くなっている場合は、早めの申請準備が必要です。
3-3. 更新申請(在留期間更新許可申請)
対象者: 既に「経営・管理」の在留資格を持っており、引き続き日本で事業を継続するために在留期間の更新を希望する方。
申請要件:
- 事業の継続性・安定性: 申請している事業が実際に継続されており、安定的に行われていること。
- 事業実績: 過去の事業年度において、事業計画に沿った活動が行われ、一定の売上や利益があること。赤字経営が続く場合は、今後の事業継続性について合理的な説明が求められます。
- 納税義務の履行: 所得税、法人税、消費税、住民税などの納税義務を適切に履行していること。
- 法令遵守: 労働基準法、社会保険、雇用保険等の法令を遵守していること。
- 在留状況: 日本での在留状況が良好であること(例:犯罪歴がないこと、不法滞在の期間がないことなど)。
必要書類(主なもの):
- 在留期間更新許可申請書
- 申請人の証明写真
- パスポート、在留カード
- 会社の登記事項証明書
- 定款
- 直近2期分の決算報告書(貸借対照表、損益計算書など)
- 法人税・消費税の納税証明書(その1、その2)
- 所得税の納税証明書(申請人個人のもの)
- 住民税の納税証明書
- 事業所の賃貸借契約書
- 従業員がいる場合は、労働条件通知書、雇用保険適用事業所関係書類など
- その他、事業内容に応じた許認可証の写しなど
注意事項:
- 申請期間は、在留期間満了日の概ね3ヶ月前から可能です。余裕を持って申請準備を進めてください。
- 事業実績が乏しい場合や、納税義務を怠っている場合は、不許可となる可能性があります。
- 事業内容に変更がある場合は、事前に相談が必要です。
その他:
- 更新申請は、過去の事業実績が重要視されます。日々の事業活動を適切に記録し、財務状況を健全に保つことが肝要です。
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