【解説】育成就労制度で「送り出しビジネス」は崩壊する?監理支援機関を待ち受ける3つの高いハードル

2027年4月からスタートする「育成就労制度」への移行にあたり、これまでの技能実習制度で通用していた「儲けのカラクリ」が通用しなくなると言われています。これまでのスライド移行とは異なり、今回は「監理支援機関」としての新たな許可申請が必要であり、そのハードルは極めて高くなっています。

なぜ新制度ではこれまでのビジネスモデルが維持できないのか。専門家の視点で3つの主要な変更点を解説します。

1. 「人数制限」の導入による効率性の低下

これまでの技能実習制度では、職員1人で50名程度を担当し、人数を増やせば増やすほど利益が上がる仕組みでした。しかし、新制度では厳格な上限が設定されます。

  • 担当者1人あたりの上限: 最大7社かつ39人までと定められました。
  • 組織の最低要件: 常勤職員2名以上の配置が必須となるため、組織としては最低でも14社・78人というキャップがはめられます。

この「数で稼ぐ」ことができない仕組みにより、特に1〜2名といった少人数を受け入れている小規模な企業(零細企業)の支援は、監理支援機関側から見て採算が合わなくなる可能性があります。

2. 「地理的制限」によるコストの増大

これまでは、東京にある団体が北海道や鹿児島の企業を監理することも可能でした。しかし新制度では、「通常の業務時間内に日帰りで往復できる範囲」という地理的要件が課されます。

  • 拠点設置の義務: 遠方の企業を支援し続けるには、その地域に事務所を構え、管理責任者を常駐させなければなりません。
  • 移動コストの転嫁: 頻繁な訪問や緊急時の駆けつけ体制が必要となり、ガソリン代や人件費などの実費負担が大幅に増えることになります。

3. 「外部監査人」の義務化と責任の重層化

新制度では、行政書士や弁護士などの専門家による「外部監査人」の設置が必須となります。

  • 名前の公表: 外部監査人の氏名は関係機関のホームページで公表され、万が一監理支援機関が処分を受けた際、監査人が「適正」と判断していればその事実も合わせて公表されます。
  • 一連托生の責任: 単なる「名前貸し」は通用せず、実地監査への同行や法的根拠に基づいた指導など、実務レベルでの重い責任が伴います。

まとめ:企業と監理支援機関に求められる覚悟

育成就労制度への移行は、管理コストの増大を意味します。日本語教育の充実や認定日本語教員による授業の提供など、追加の負担も重なります。

今後、監理支援機関側も「コンプライアンスを重視し、適切にコストを負担してくれる企業」を選別せざるを得ない状況になるでしょう。


行政書士としてのアドバイス 今回の制度変更は、単なる手続きの変更ではありません。「適正な運営には相応のコストがかかる」という前提に立ち、受け入れ体制を根本から見直す必要があります。

投稿者プロフィール

杉﨑議一
杉﨑議一
愛知県岡崎市のビザ申請の専門家です。国際結婚・離婚や家族滞在、永住許可などの、身分系ビザ申請で多くの実績をがあります。 元公立中学校教員として外国人生徒の日本語、教科、進路指導を行い、日本語指導ボランティアとして外国人の日本語指導を行ってきました。
資格 申請取次行政書士 宅地建物取引士
趣味 ツーリング

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